経済・市民・文化

2018年7月 4日 (水)

文化庁が許可する見通しのない天守木造化のための木材契約に反対する

 本日の市議会で、名古屋城天守閣の木造復元のために、木材の調達などを竹中工務店と契約する議案が、日本共産党と自民党の2議員以外の賛成多数で可決されました。西山あさみ議員が反対討論に立ち、「文化庁が現天守閣の解体・木造化を許可する見通しがない中で、木材調達を先行させるという強引なやり方は、市民にさらなる負担をもたらす恐れがある」と批判。「2022年完成のスケジュールありきの木造化計画は、いったん立ち止まり、市民の声を聞くべきだ」と求めました。

 

有識者による「石垣部会」は、「江戸時代から残る価値ある石垣を、復元で傷める恐れがある」と警告し、文化庁の復元検討委員会も「天守解体および木造天守建築時における、天守台石垣に対する影響を考える必要がある」と名古屋市に意見しています。石垣調査について市は、目視による調査で十分としていますが、石垣の専門家は、穴倉の石垣根石・背面調査も必要だと指摘しています。これらの指摘にたいして市は、「理解してもらえるよう努力する」と繰り返すだけで、文化庁の現状変更許可が得られる保証はありません。

 

見通しのない中で木材契約をすれば、さらなる市民負担に繋がります。いま、契約をしなかった場合には損害賠償請求はありませんが、急いで契約し、許可が得られず計画が延びれば、木材の保管料に毎年1億円かかると市は答弁しています。竹中工務店との基本協定では、業者自らの努力のみで難しい場合には、費用負担についても市側と協議することが明記されており、事業費の高騰に繋がる恐れがあります。

2018年6月27日 (水)

天守閣木造化の木材契約する時ではない

 名古屋市議会には、名古屋城天守閣の木造復元のための木材の調達・製材などを94億円余で竹中工務店と契約する議案が提出されています。日本共産党の江上博之議員は6月22日の本会議で、「木材契約の前にやるべきことすら行われていない」として、①現天守閣を解体、木造化するための「現状変更許可」が、文化庁から得られる状況にない、②エレベーターに代わる「新しい技術」は現時点ではなく、開発の見通しもない、③文化庁が木造化の条件としている「現在の石垣の劣化状況などの調査」が終わっていないことなどをただしました。

 

 渡邊観光文化交流局長は、石垣調査について「年度内に報告書を取りまとめたい」と答弁しました。こんな状況では、今年秋に得たいとしている文化庁の許可は到底無理でしょう。本会議では、自民党議員の質問に答えて広沢副市長が「スケジュール的には厳しい状況と認識している」と述べました。文化庁の許可を得る時期も見通せない状況で、「2022年12月完成」という超短期のスケジュールを前提に、木材の調達・製材を先行させてよいのでしょうか。いったん立ち止まるべきです。明日からの委員会質疑が注目されます。

2018年5月15日 (火)

バリアフリーに逆行する天守閣木造復元は愚行

 名古屋城天守閣の木造復元をめぐって、エレベーター設置問題が矛盾を拡大しています。障害者団体からは、エレベーターを設置しないことは「不当な差別的取り扱い」であり、障害者差別解消法に違反しているという指摘もなされています。

 

河村市長は、階段を昇降する「車いす型ロボット」を開発するといいますが、現状は「なだらかな階段を3段昇降することが可能」(市資料)にすぎません。本日の市議会経済水道委員会で市当局は、復元完成予定の2022年12月までに開発できるメドがたっていないことを認めました。エレベーターは障害者のみならず、急な階段の昇降に苦労する健常者にとっても必要です。障害のある人だけを特別扱いすること自体が差別なのです。バリアフリーという時代の要請に逆行する公共建築物の建設は愚行だと言わなければなりません。

 

 エレベーター設置問題で混迷を深めているのは、河村市長が〝本物〟復元にこだわり続けているからです。しかし、耐震補強や防火・避難などで現代建築物と同等の安全性は確保しなければならず、百パーセント史実に忠実な復元はありえません。天守復元を請け負う竹中工務店も、「(短い工期で)史実に忠実な復元を実現するには不可能といえるほど非常に厳しい」(技術提案書)と吐露しています。河村市長は「レプリカ」を本物と偽り、「50~100年で『国宝』になる」とぶち上げていますが、バリア(障害物)のある21世紀の建築物が国宝になるとは到底思えません。

 

 河村市長は、「エレベーターを設置しない方針について『(市長選や市議会の議決など)市民の選択で旧国宝のものを復元しようと決まった。もう一回さかのぼるのはおかしい』」(「朝日」)と語ったと報じられています。はなからエレベーターは設置しないという考えだったのです。それならどうして、2月議会の私の代表質問にたいして、「エレベーターは設置しない」と明言しなかったのか。議会で誠実に答弁しない一方で、「議会の議決」(共産党は反対)を持ち出すのは欺瞞的です。

 

 バリアフリー問題一つとっても容易に解決できない天守閣木造復元は、いったん立ち止まるべきです。そのうえで現天守閣の耐震改修も含めて再検討することを求めます。

2018年5月 8日 (火)

何のための名古屋城天守閣〝閉鎖〟か

 名古屋城天守閣が5月7日に閉鎖されました。「木造復元が完成する予定の2022年末まで4年7か月間は入場禁止」と報じられていますが、早期に開放することは可能です。逆に入場禁止期間が長引く恐れもあります。

 

 だいたい何のための閉鎖なのでしょうか。「木造復元にともなう調査や工事のため」と市は言いますが、工事はおろか調査を実施する見通しさえたっていません。調査とは天守台の石垣、とくに天守閣の出入り口がある地階(「穴蔵」)の石垣の安全性調査です。調査のためには有識者会議を開き、文化庁に申請して許可を得る必要がありますが、市内部の取りまとめが終わらないため、有識者会議(石垣部会)も開催できない状況だといいます。

 

石垣調査について文化庁は、「木造復元計画とは切り離し、石垣の保全のための調査と明確にするよう指導」(「読売」)しているといいます。穴蔵などの石垣の調査が終わったら、扉を開放すれば再び現在の天守閣に入場できます。「耐震性が乏しい天守閣にまた入場させるのか」と言われるかもしれません。だったら耐震改修すればよいではありませんか。木造復元のために「閉鎖ありき」という進め方は、綻びを拡大させるだけでしょう。

2018年3月 2日 (金)

復元天守へのエレベーター設置の有無は?――代表質問①

 06230269 本日の市議会で代表質問に立ちました。名古屋城天守閣の木造復元をめぐっては、バリアフリー問題を取り上げました。河村市長は、本会議の所信表明で、「ナゴヤの象徴を本来の忠実な姿に戻したい」「木造本物復元整備がいよいよ本格化」すると述べました。天守閣にエレベーターを付けたら本来の姿に戻りません。本物の天守閣にはエレベーターは付いていませんでした。2月27日の記者会見では、「木造本物復元は市長選の公約だから、裏切ることはできない」、「全く本物でないなら、やめた方がええ」とまで言っています。

 

私は市長に、「エレベーターは設置しないというのが市長の考えか」「復元天守にエレベーターを付けたら、公約を裏切ることになりはしないか」と質問。市長は、エレベーターの設置もありうるとは答弁しませんでした。エレベーターを設置したくないというのが、市長の本心でしょう。しかし、障害者のみなさんなどはエレベーター設置を強く要望されています。バリアフリー問題をめぐって、〝本物〟にこだわる河村市長とエレベーター設置を求める障害者など市民との間で矛盾を深めています。

 

エレベーター設置の有無については、今月中を目標に決定するとされているバリアフリーの基本方針の明確にしなければなりません。市長は、「車いすで階段を上がれる新しい技術などを開発する」と答弁しましたが、開発できるかどうかわからない新技術のメドが立つまで待てません。私は、「バリアフリー問題一つとっても容易に解決できない天守閣木造化は、拙速に進めるのでなく、いったん立ち止まり、現天守閣の耐震化も含めて再検討すべきだ」と求めました。

2017年12月 8日 (金)

天守台石垣調査は中断。それなら天守木造化も中断を

本日閉会した名古屋市議会で、日本共産党市議団は名古屋城の天守台石垣の追加調査の補正予算に反対しました。天守台の石垣調査それ自体は必要なことですが、2022年12月を期限とする天守閣の木造化が前提になっているために、大きな混乱が生じているからです。

 

名古屋城整備に関する専門家の会議が紛糾し、11月半ばから石垣調査が中断。専門家の助言が得られず、調査再開のメドが立っていません。それにもかかわらず、名古屋市は、石垣の詳しい調査のために、来年5月7日から現天守閣を入場禁止にする、石垣の専門家のメンバー交代まで考えていることを明らかにしました。2022年12月木造化のスケジュールありきの強引な進め方です。これでは、現存している〝本物〟の文化財である石垣のまともな調査はできないでしょう。天守木造復元は慌てず、石垣調査も中断しているのですから、いったん立ち止まって、しっかり議論すべきです。

 

日本共産党市議団は、天守閣木造化についてのシンポジウムを開きます。12月16日(土)午後1時30分から。会場は、天守閣を臨めるKKRホテルです。パネラーには、大改修を経て国の登録有形文化財に登録された大阪城天守閣の元館長の渡辺武さんなどをお招きします。

2017年11月21日 (火)

名古屋城木造化 エレベーター議論はかつて市議会でも

 今夕の「中日新聞」夕刊に、「忠実復元か弱者配慮か」「名古屋城エレベーター議論白熱」という記事が出ていました。河村市長が〝本物〟にこだわる天守閣木造復元で、名古屋市がエレベーターを設置しない方針を示したことに、障害者らから「車いす利用者が上がれなくなる」と反発の声が上がっているといいます。

 

 私は、2013年6月議会の代表質問で、エレベーター設置について河村市長と議論したことがあります。「急な階段や段差が多く、バリアフリーとならず、お年寄りや体が不自由な方の観覧には支障があるが、どうするのか」と質問したところ、河村市長から突拍子しもない答弁が返ってきました。「背負子(しょいこ)があるでしょう。体の不自由な人は名古屋市立大学のみなさんに(背負って)上がってもらったらどうですか。〝あったかい〟名古屋城になると思います」。 その後の委員会質疑で、市当局は、名古屋城内で人力車を引いてくれた学生ボランティアに、高齢者などを背負って階段を上がってくれるか尋ねたところ、「やりません」というのが答えだったそうです。

 

 現在の名古屋城再建天守にはエレベーターが設置されています。それを急いで壊して、バリアフリーという時代の流れに逆行するレプリカを造ることが、市民に〝あったかい〟名古屋城になるのでしょうか。

2017年5月10日 (水)

これからでも中止は可能――拙速な天守閣解体・木造化

 名古屋市は9日、名古屋城天守閣の解体・木造化事業で、竹中工務店と基本協定を締結しました。2022年12月完成という超短期の事業が、505億円という巨費をつぎ込んで、市民の合意がないまま動き出そうとしています。 

 しかし、ハードルはいくつもあります。名古屋城跡は国の特別史跡であるため、現状変更には文化庁の許可が必要です。「同庁の文化財調査官は『工事でき損しないよう、必要なら何度でも審議する』と慎重な態度を見せている」(「読売」)など、審査に時間がかかれば本格着工が遅れる可能性があります。 

 基本協定書には、設計や工事施工などの具体的な業務の契約は、「予算の成立を条件とする」とのただし書が付いています。予算が成立しない場合や議会の議決が得られない場合は、「中止し、契約の締結をしないことがある」と明記されています。拙速な天守閣解体・木造化は、いまからでも中止させることは可能です。

2017年3月23日 (木)

天守閣の解体・木造化を市長選挙の争点に

名古屋城天守閣の木造復元に向けた基本設計などの予算案が、本日の市議会本会議で可決しました。反対したのは、日本共産党の他に2人の自民党議員。日本共産党の江上ひろゆき議員が反対討論を行いました。

 

平和と戦後復興の象徴として再建された現在の天守閣を、急いで壊して木造化することに、市民の合意はありません。昨年5月に名古屋市が行った2万人アンケートでは、「2020年7月までの木造復元」は21%。河村市長は完成期限を2022年12月に伸ばしましたが、超短工期の市長提案は〝否決〟されています。日本共産党市議団の市政アンケートでも、「まずは耐震補強を」が52%です。市当局も、委員会審議で「市民の機運醸成」を図らなければいけないことを認めるほど、市民合意はありません。

 

「税金は1円も使いません」と市長がいう収支計画も破たんしています。入場者数と収支見込みにたいして、民間調査会社からは長期の予測は不可能と指摘されています。市当局も「税金投入しないように努力する」としか言えません。収支計画や財源問題などの課題解決の方向が見えず、賛成した自民・民進・公明が、これらの問題で附帯決議をつけざるをえませんでした。

 

木造化予算案の可決は見切り発車と言わざるをえません。竹中工務店との設計契約・基本協定締結は市長選挙後ですから、天守閣の解体・木造化を市長選挙の争点にして、民意を問うべきです。

2017年3月22日 (水)

唖然とした委員会可決――名古屋城天守閣「解体・木造化」予算案

 本日の市議会経済水道委員会で、昨年6月議会から継続審査になっていた名古屋城天守閣の解体・木造化予算案が、日本共産党と自民の丹羽議員以外の賛成多数で可決されました。同委員会の審議では、自民党や公明党の議員も、ときには共産党議員以上に、当局を激しく追及していました。それにもかかわらず、どうして賛成したのか。委員会審議を聞いていた人で理解できる人はいないでしょう。

 

 自民・民進・公明は附帯決議を付けましたが、その内容は、「入場者数目標の達成への努力」「寄付金、補助金、減税見直しも含めた財源確保」「事業費の圧縮努力」など、木造化事業を進める上では当たり前のことを述べているだけです。

 

天守閣木造化には505億円という巨額の事業費がかかります。河村市長は、木造復元後の入場者数が現在の2倍以上の400万人程度に増え、それが50年間近くも継続することを前提にした収支計画を持ち出しました。入場者数激増の根拠を質した昨年2月議会の私の代表質問に、河村市長は「税金を使うなどと人を惑わすようなことを言ってはいけない。税金は使いません」と気色ばんで答弁しました。 

ところが、経済水道委員会では、「何もしなければ時間とともに入場者数は落ち込んでいく」という日本総合研究所の意見が示され、収支計画の根拠のなさが明らかになりました。すると、河村市長は「仮に収支がよくなくとも、必ず推進すべきものである」と開き直り、昨日、その考えを文書で同委員会に提出したのです。人を惑わしてきたのは、「税金は1円も使いません」と断言してきた河村市長ではないか。 

経済水道委員会では、各会派のみなさんが、4回の定例会にわたって本当に熱心な議論を繰り広げられ、収支計画をはじめ木造化計画のさまざまな問題点があぶり出されたと思います。現にある復元された天守閣を急いで壊すことに、市民の合意もありません。だからこそ、ここはいったん立ち止まり、来月の市長選挙での市民の審判を踏まえて考えることが、民主主義ではないでしょうか。

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