広沢市長と初論戦――市民税減税100億円を福祉・暮らしに
12月5日の本会議で、私は広沢一郎市長と初めて論戦しました。市長選挙で大きな争点となった市民税減税についてです。
市民税減税は、住民税が非課税の人や控除対象となる配偶者や扶養親族など市民の約半数には1円も減税がありません。減税の恩恵を受けているのは、一握りの大金持ちであり、約9割の市民は減税額がゼロか、年間数百円、数千円です。その一方で、これまでの河村市政は、介護保険料や国民健康保険料などの値上げを繰り返してきました。今年度、介護保険料が年額3696円値上げされた保険料段階が第6段階の高齢者は、非課税ですから、市民税減税はゼロです。収入が年金のみで年間150万円の一人暮らしの高齢世帯の国保料は、年額1370円の値上げですが、この世帯も非課税ですから、減税の恩恵はありません。
河村前市長も広沢市長も、「減税をやめれば増税になる」と言います。しかし、約半数の市民は、そもそも市民税を納めていないのですから、減税をやめても増税になりません。減税されている市民にとっても、減税をやめた方が、暮らしが楽になるケースが少なくありません。その一つが、小学校給食の無償化です。小学校給食が無償になれば、子育て世帯の負担が児童1人につき年間4万8400円軽くなります。
私は、「物価の高騰で苦しんでいる低所得者にとって、市民税減税は暮らしの支えにまったくなっていないことは明白ではないか」「年間数千円から1万円程度の減税よりも、約5万円負担が軽くなる給食費無償化の方が、子育て世帯にとっては、はるかに生活支援になるのではないか」と質問しましたが、市長は「市民税減税は、納税者の可処分所得を増やすことで市民生活を支援するもの」と市民税減税の目的を繰り返すだけでした。
私は、「市民税減税は、減税政策としては本質的な欠陥がある。それは、税の公平性を損なう減税ということだ」と指摘。かつて東京都議会で、個人都民税の一律減税への認識を問われた小池百合子知事も、高額所得者ほど減税額が大きくなる、個人都民税が課せられない方々に対しては効果が及ばない、だから、税の公平性の観点から課題があるという認識を示したことを述べて、「市民税減税は、定率・一律の減税であるため、税の公平性の観点からは課題があるという認識はないか」と質問しました。
広沢市長は、「一律の税率ということは、所得に比例して同じ割合で負担するということであり、公平な制度になっている」と答弁。私は、「税の負担という点では、公平かもしれない。しかし、減税という点では不公平ではないか」と指摘し、「高額所得者により多くの恩恵を施し、格差を拡大する不公平な減税はやめて、100億円を市民の福祉・暮らしの応援に回せ」と求めました。