“金持ち減税”も大型事業も行き詰まり――決算反対討論
本日の市議会で、一般会計決算の認定にたいして、以下の内容で反対討論を行いました。
急激な物価高騰が市民の暮らしを直撃しています。ところが、昨年度、本市の国民健康保険料は年間一人平均2700円余り引き上げられ、後期高齢者医療は保険料の特例軽減が廃止されるとともに、医療費窓口負担の2割への引き上げが導入され、介護保険では愛知県下で一番高い保険料負担が継続されるなど、市民には負担増が強いられました。それにもかかわらず、一般会計において負担軽減の手立ては講じられませんでした。
その一方で、富裕層優遇の市民税減税は継続されました。昨年度、減税額がトップの方は、なんと6717万円も減税されました。この方の収入は220億円だそうです。収入がおおむね1億7千万円を超える富裕層が50万円を超える減税の恩恵を受ける一方で、納税者の過半数を占める収入500万円以下の方の減税額は5000円以下です。物価高騰の影響をまともに受ける庶民には、減税の恩恵はまったくないか、あってもわずかな金額でしかありません。こんな〝金持ち減税〟はやめて、税収を約94億円増やし、それを小学校給食費の無償化や国保料の引き下げ、奨学金の返還支援など、市民の暮らしを支える施策に活用すべきだったのであります。
昨年度、立ち往生している大型事業を中止・見直しもせず、進めたことも問題です。その一つは、名古屋城天守閣の木造復元です。今年6月に開かれたバリアフリー市民討論会での差別発言は、人権の尊重という本市のまちづくりの基本理念に反するきわめて深刻な問題ですが、こうした事態を招いた背景には、昨年12月、天守閣の昇降技術の選定にあたって「1、2階までなら合理的配慮と言える」と発言し、最上階までの昇降を望む障害者への配慮よりも、「本物復元」を優先する河村市長のかたくなな姿勢があったと言わざるをえません。復元事業は、差別発言問題の検証作業が終了するまでストップしていますが、すでに昨年度の段階で、着工のメドが立っていなかったのですから、木造化は中止し、現天守閣の耐震改修へと舵を切り替えるべきでした。
二つは、徳山ダム導水路事業です。河村市長は新たな理由を持ち出して、導水路の建設容認へと方針転換されましたが、苦し紛れの理由であり、しかも「水余り」は市長も否定していません。一般会計からも工業用水道事業会計に地盤沈下対策を名目に出資が継続されましたが、工業用水は「水余り」が顕著であり、地盤沈下は20年近く沈静化していることから、出資目的が成り立たなくなっています。導水路事業からの撤退を求めるものです。
三つは、都市高速道路のインター・ジャンクションの追加整備です。丸田町ジャンクションの渡り線建設は、自宅マンションの目の前まで高速道路が迫ることになる住民などが、騒音や日照被害などへの懸念から中止を求めるとともに、それができなければ吹上方面でのUターンなど代替案への変更を要望されています。黄金インターの出入口追加整備も、高速道路建設によって人生で2度も立ち退きを余儀なくされる住民などから不安の声が上がり、住民の理解が得られていません。高速道路建設において尊重しなければならない3条件8項目の一つである「住民の理解と納得」が得られていない黄金および丸田町の追加整備は中止し、住民が求める代替案の検討を行うべきです。
大型事業では昨年度から、中部国際空港の二本目滑走路建設に向けた空港会社への無利子貸付金の支出も開始されました。しかし、中部国際空港はコロナ禍による需要の落ち込みからの回復が遅れており、将来の需要予測が立てられない状況にあります。それにもかかわらず、滑走路増設の必要性を判断する一番のメルクマールである需要見通しを脇に置いて、二本目滑走路建設の調査に着手されたことは認められません。
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