問われる「人権よりも天守『本物復元』優先」――市民討論会での差別発言問題
6月3日に開かれた市民討論会では、木造天守へのエレベーター設置を求める車いす利用の参加者に対し、一部の参加者から差別発言があり、その発言を主催した市側は制止しませんでした。河村市長は市議会開会日の所信表明で、改めて謝罪するとともに、市民討論会での市側の対応について検証を行い、再発防止に向けて取り組んでいくと表明。私は、本日の市議会で、差別発言に対する市長の認識をただしました。
河村市長は6月5日の記者会見で、車いす利用の参加者にたいする身体的ハンディキャップへの差別表現(市長は「聞こえなかった」と言っていますが)については差別と認めましたが、それ以外の「ずうずうしい」「我慢しろよ」など一連の発言については、「表現の自由」を盾に差別に当たるかどうかの判断を避けました。その後の市議会常任委員会の議論などで、健康福祉局は障害者差別に当たると断定しています。「現時点ではどのように考えているのか」という私の質問に市長は、「障害者基本法や障害者差別解消法の理念に反するものであり、障害者差別である」と認めました。当然のこととはいえ、この点では市長と市当局の認識が一致しました。
河村市長は市民討論会の閉会あいさつで、「熱いトークもありまして、なかなかよかったですね」と述べました。私は「『なかなかよかった』という発言は名古屋市として障害者への差別発言を無視し、容認したことになるのではないか」と質問。市長は「差別発言を容認するものではない」と釈明。そこで、私は「それなら市民討論会をどのように評価しているのか」と質問しました。市長は「差別発言が出たのは大変残念だ。『表現の自由』はあるが、事前に注意喚起すべきだった。しっかり検証し再発防止に取り組む」と述べましたが、討論会の評価については明言を避けました。
さらに私は、「障害者への配慮よりも『本物復元』を優先する市長の態度が、差別発言の一因となったのではないか」と質問。 しかし、河村市長は「木造復元を行うという考え方と(希望者)全員が(天守閣最上階に)昇れるようにするという考え方は両立しない」などと自説を展開。私は、「差別発言問題をしっかり検証するとともに、市長は自らの市政運営を謙虚に省みてほしい」と求めました。
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