名古屋城市民討論会での差別発言問題――有識者交えたチームで検証
6月29日の市議会総務環境委員会で、名古屋城天守閣の木造復元のバリアフリーをめぐる市民討論会での差別発言問題について調査しました。この中で名古屋市は、外部の有識者を選定して検証チームを発足させることを表明。河村市長や松雄副市長へのヒヤリングも検討することを明らかにしました。検証作業を進める上で、これは当然の方向です。
同委員会では、天守閣復元を担当する観光文化交流局の管理職職員からのヒヤリング結果が報告されました。私は職員の意見を読んで、今回の市民討論会は、木造天守のバリアフリーに関する市長の思いと当局の思いが食い違う中で開かれたことがよくわかりました。河村市長の思いについて担当職員からは、「市長は、最上階を目指すようなものではない、選定した技術は認めないということを主張」、「夏ごろからこのような提案があるということは市長にも説明していた。その時は特段の反応もなかったので、12月に最優秀提案の話をしたときに急に異を唱えられて戸惑いがあった」などの意見が出されています。バリアフリーに関する市民討論会であるにもかかわらず、障害者への配慮という人権の視点が欠けていた背景には、市長に「昇降設備は1階まで」と表明させるお膳立てを整えるという政治的思惑があったと言わざるをえません。
職員からのヒヤリングでは、 「多くの人がつけるなと言っているから1階までと決断したというのは、令和の時代では多分通用しないと思う」という意見があります。「選定した昇降技術は認めない」という河村市長、「1階まで」で妥協を図ろうとした松雄副市長。「令和の時代では通用しない」ことを担当職員に求めてきたこの二人の言動の中に差別発言を生じさせた遠因があったのではないか。真摯に省みてもらわなければならないと思います。
「今となっては、基本的には、市民討論会の組み立て自体が不適切であったし、段取り自体も不十分であったと思う。その根本的な原因は我々の障害者なり、バリアフリーに対する考え方が、市長も含めて適切ではなかったと思っている」――職員からの意見です。外部有識者を交えた検証チームで、市長や副市長からも聞き取りを行い、差別発言を生じさせた原因を究明することが求められています。