河村たかし市長は、元「減税日本」県議で元副市長の廣澤一郎氏を教育長に任命する人事案件を提出することを議会運営委員会で示しました。同委員会では日本共産党の江上博之幹事長が、これに先立って開かれた各派団長・幹事長会では私が、以下の意見を表明しました。
元副市長の廣澤一郎氏を教育長に任命する人事案件については、教育委員会の政治的中立性と独立性を損ないかねず、教育行政を市長の支配下に置くことが可能になることから、提出を断念するよう求めます(議運では撤回を求めた)。
そもそも教育委員会制度とは、教育の政治的中立を維持するため、市長から独立した機関として位置付けられています。教育委員会制度における「政治的中立性の確保」について、文科省のHPでは、「個人の精神的な価値の形成を目指して行われる教育においては、その内容は、中立公正であることは極めて重要。このため、教育行政の執行に当たっても、個人的な価値判断や特定の党派的影響力から中立性を確保することが必要」とされています。政治が教育に果たすべき責任は条件整備などによって教育の営みを支えることであって、政治が教育内容に介入することは絶対に行ってはなりません。
教育委員会制度における「首長からの独立性」については、文科省のHPでは、「行政委員会の一つとして、独立した機関を置き、教育行政を担当させることにより、首長への権限の集中を防止し、中立的・専門的な行政運営を担保」するとされています。
教育長および教育委員の任命権は市長にありますが、その任命にあたっては、「政治的中立性の確保」と「市長からの独立性」が担保されるよう、一党一派に偏した人事を排することが重要です。市長の〝イエスマン〟ばかり選んでいけば、教育委員会制度の根幹が損なわれるとともに、多様な民意が教育行政に反映できなくなるからです。
ところが、今回の人事は、河村市長が代表を務める減税日本という地域政党の幹事長や県会議員、衆議院議員候補者を務めた方を教育長に据えようというものです。これは、教育委員会の政治的中立性を損ないかねません。また、副市長として河村市長を補佐してきた方では、教育委員会の独立性を担保できません。政治活動でも職務上も、自らの配下にあった人物を教育長に据えることによって、市長が教育内容に介入し、支配下に置くことが可能になります。このような教育委員会制度の根幹を損ねかねない人事案件は、提出するべきではありません。