名古屋城天守閣 木造復元の許可申請メド立たず
名古屋城天守閣の木造復元は、文化庁の許可を得るための申請段階で足踏みしています。市は10月に開かれる文化審議会までに基本計画書案を提出する予定ですが、「時間的に大変厳しい状況」と市議会で答弁しました。文化庁の許可は早くとも来年5月にずれ込む見通しで、「2022年完成の工程見直しにもつながりかねない状況」(「中日」)です。
申請のメドが立っていないのは、「石垣の保存方針について、地元有識者と認識の一致をみていないことを文化庁から指摘された」(市答弁)からです。名古屋市の石垣保存方針は、緊急性の高いものについては優先的に対応し、本格的な石垣の修復は天守閣木造復元後に行うという二段階方針です。一方、市の石垣部会の有識者からは、一般論として建物復元よりも石垣保全が最優先という意見が出されています。昨日の本会議では、日本共産党の江上博之議員がこの点を追及。市観光文化交流局長は、「石垣部会は、『天守台石垣が深刻な状況にあり、石垣の保全について検討し必要な措置を取ることが最優先であり、名古屋市の示した石垣の保全方針では不十分である』と考えている」と答えました。
石垣部会の有識者と名古屋市が、石垣の保存方針で一致する見通しは立っていません。エレベーター問題もあります。それでも河村市長は、「2022年12月復元完成」にこだわっています。江上博之議員は、「2022年完成にこだわることが、すべての問題の原因だ。いったん立ち止まって市民の意見を聞くために、計画を見直すべきだ」と追及しましたが、河村市長は「見直すつもりはない」と答弁。木造復元計画は混迷に陥っています。