バリアフリーに逆行する天守閣木造復元は愚行
名古屋城天守閣の木造復元をめぐって、エレベーター設置問題が矛盾を拡大しています。障害者団体からは、エレベーターを設置しないことは「不当な差別的取り扱い」であり、障害者差別解消法に違反しているという指摘もなされています。
河村市長は、階段を昇降する「車いす型ロボット」を開発するといいますが、現状は「なだらかな階段を3段昇降することが可能」(市資料)にすぎません。本日の市議会経済水道委員会で市当局は、復元完成予定の2022年12月までに開発できるメドがたっていないことを認めました。エレベーターは障害者のみならず、急な階段の昇降に苦労する健常者にとっても必要です。障害のある人だけを特別扱いすること自体が差別なのです。バリアフリーという時代の要請に逆行する公共建築物の建設は愚行だと言わなければなりません。
エレベーター設置問題で混迷を深めているのは、河村市長が〝本物〟復元にこだわり続けているからです。しかし、耐震補強や防火・避難などで現代建築物と同等の安全性は確保しなければならず、百パーセント史実に忠実な復元はありえません。天守復元を請け負う竹中工務店も、「(短い工期で)史実に忠実な復元を実現するには不可能といえるほど非常に厳しい」(技術提案書)と吐露しています。河村市長は「レプリカ」を本物と偽り、「50~100年で『国宝』になる」とぶち上げていますが、バリア(障害物)のある21世紀の建築物が国宝になるとは到底思えません。
河村市長は、「エレベーターを設置しない方針について『(市長選や市議会の議決など)市民の選択で旧国宝のものを復元しようと決まった。もう一回さかのぼるのはおかしい』」(「朝日」)と語ったと報じられています。はなからエレベーターは設置しないという考えだったのです。それならどうして、2月議会の私の代表質問にたいして、「エレベーターは設置しない」と明言しなかったのか。議会で誠実に答弁しない一方で、「議会の議決」(共産党は反対)を持ち出すのは欺瞞的です。
バリアフリー問題一つとっても容易に解決できない天守閣木造復元は、いったん立ち止まるべきです。そのうえで現天守閣の耐震改修も含めて再検討することを求めます。
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田口さん、はじめましてこんにちは。
私は名古屋市民です。
昔は街なかをブラつくのを趣味にしてまして、街並みを見て歩くのが楽しみだったんですが、この数年間は生活環境の変化に伴いそれも出来なくなっております。
そんな中でも、たま〜に訪れてチラッと見て気づいただけでも、平和公園なんかの公園の土地の切り売りや、公園を削っての有料駐車場化なんかにがっかりさせられます。
それに予算削減で白川公園や栄地下までも、どこもかしこも味も素っ気もないようになっててがっかりします。
今度は久屋大通公園の森の部分を切り売りしてしまうとか言う話を聞きましたけど、本当のところはどうなんでしょうね?
都心部にあって憩いの場であり、すごく大事な存在なのにあっさりとそんな事になってしまうんでしょうか?
そんな大事な事をほとんどの市民が知らないんではないでしょうかね?
私もこの前聞いてショックでしたし、今でも詳しい事は全然解って無いです。
議論らしい議論も行われないまま、市民の財産を簡単に安売りして手放してしまうんだとしたらとんでもないことですよね。
名古屋城には物凄いお金も掛けての改修する一方で、どうも河村たかし市長などは「公園なんて不採算だし税金の無駄」と解釈してるようですね(名古屋城内はバリアフリーさえ無視して復元するようですが、それでいて天守閣近くまで自動車が入れるんですから阿呆らしいですよね)。
自らが通ってた学校の校舎建て替えには反対して座り込みまでしてたんだそうですが、自分が市長になったらこの有り様です。
「あおなみ線にロマンスカーを走らせる」だの言ってる事が名古屋の人とは思えない感じで、実は街に愛着も何も全然ない人なんだなぁと思わざるを得ませんね。
この酷い政策は、街なかをよく探索してた市民として悪夢を見てるような気分です。
投稿: かんぴん | 2018年5月24日 (木) 05時05分