天守閣木造復元 「税金は使わない」の根拠なし――代表質問②
昨日の代表質問では、名古屋城天守閣の木造復元問題もとりあげました。河村市長は木造復元の財源について、「税金は使いません」と言って、市債を400億円発行する試算を示しています。この試算では、利子と合わせて586億円を入場料で返還するために、2025年度から2047年度までの20余年間は、年間442万人の入場者数を確保するというもの。子どもなど無料や減額の入場者を含めると500万人程度の入場者を見込まなければなりません。現在の名古屋城の入場者数は165万人程度です。私は、「木造復元によって名古屋城の入場者数が500万人に増加し、それが20年間余りも継続するのか。その根拠を示せ」と追及しました。
これにたいして河村市長は、相も変わらず熱田神宮の参拝者数(670万人)や江戸城天守再建の試算数字(500万人)を持ち出すだけ。人々の信仰の対象であり、入場無料の熱田神宮を引き合いに出すのはお門違いです。
名古屋城の維持管理のためには、職員の人件費と管理運営費だけでも年間6億円余りが支出されています。河村市長は、名古屋城の「民営化」を口にしていますが、仮に大阪城公園のように指定管理者制度を導入したとしても、入場料収入は人件費や管理運営費などに優先的に充てることになり、黒字が出ても市債の償還に回せるのは限られます。私が、「市債を発行しても、結局、税金で返していくことになるのではないか」と質すと、市長は、「税金で返すなどと人を惑わすようなことを言ってはいけない。税金は使いません」と、根拠を示すことなく言い切りました。明確な根拠も示さず、木造復元後の入場者数が400万人~500万人に増加すると吹聴することこそ、「市民を惑わす」と、私は指摘しておきました。
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2万人アンケートが実施された場合には、年代別の分析をしたうえでのしっかりとした議論を期待しております。 私は、このアンケートでは実際に負担を負う、あるいは後世にバトンタッチしていく役目を担う20代~40代くらいの人たちの考えが圧倒的に重要だと思っています。
新聞報道によれば、河村市長は本会議の答弁で「アンケートの結果での賛成の割合で直ちに決めるのではなくよく分析する」というようなことを言われたそうですが、そのとおりです。
仮にお城へのノスタルジーが強い世代の賛成が多くて、結果として全体の過半数が賛成だったとしても、20台~40台の反対が圧倒的だった場合には今回の木造化計画は見送ったほうが良いと思います。そのような意味で「よく分析する」と市長がおっしゃったのかどうかわかりませんが、実際に負担する世代、維持する責任のある世代の意見がより重みをもつというのは常識でしょう。
ということで、先生の党の皆さんの取り組みに期待しております。それから言わずもがなですが、アンケートには年代(10歳刻み程度で結構です)を必ず記載させてくださいね。
投稿: | 2016年3月 4日 (金) 20時45分