「突貫工事で〝国宝級〟ができるのか」――天守閣タウンミーティング
本日、名古屋城天守閣整備のタウンミーティングが天白区役所講堂で開かれました。会場からの発言では木造復元に賛成の意見が多かったのですが、河村市長がめざす東京オリンピックまでに完成させるという方針については、「4年ぐらいの期間で、市長が言う〝国宝級〟ができるのか。残された図面などの資料を分析して緻密な工事をしようとすると時間がかかると思う」「そんなに急いでどうするの。東京オリンピックに向けて新国立競技場建設など巨大プロジェクトがダブってしまう」という意見が出され、会場から拍手が起こりました。
これにたいして河村市長は、「江戸城に先を越されたら、木材がなくなる。名古屋城は木が育つまで300年間辛抱してもらうことになる」「400年前は重機がなくても2年でできた」と、今までと同じことを繰り返していました。木材の争奪戦をあおるという姿勢は、文化財にたいする謙虚さが感じられません。また、400年前のように宮大工や左官などの職人を大量に確保できるのでしょうか。重機や携帯電話があっても、〝人〟がいなければ、歴史的建造物を短期間に再建することはできないと思います。
賛成意見で気になったのは、現在の鉄筋コンクリートの天守閣について、「負の遺産だ」と述べた人がいたことです。この意見を受けて、河村市長も「名古屋に来た人が、コンクリートの天守閣を見てガッカリする」と答えていました。このやりとりを、空襲によって焼失した天守閣を再建した57年前の市民が聞いたらどう思うのでしょう。建設費の3分の1は市民の寄付によって再建された現在の天守閣は、戦後復興のシンボルとして、名古屋市民の誇りになってきたと思います。また、その外観は焼失前の天守閣をほぼ忠実に再建したものとして、文化的にも価値があると思います。その天守閣を壊して建て替える――ここが、世界遺産ドレスデンのフラウエン教会との違いです。
タウンミーティングは今日で最終回ですが、反対意見もあり、また放言ともいえる市長の回答(「品が悪い」と野次られていた)では、天守閣木造復元の機運はとても熟していないと感じました。
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