市民の意見を聞かずに提案された天守閣木造復元予算
本日の市議会本会議で、私は、名古屋城天守閣の木造復元予算について質問しました。この予算は、名古屋城天守閣の木造復元に向け、契約手法として技術提案・交渉方式を採用し手続きを進めるというもの。今回の予算では、木造復元の設計・施工を請け負うゼネコンを選定するところまで進める予定です。
私が問題にした一つは、今回の予算提案の手続きについてです。これまでの市議会経済水道委員会の議論では、議会側は木造復元にゴーサインを出しておらず、当局も「木造復元をめざす」という方針を引っ込め、「(天守閣)整備の選択肢を示しながら、市民の意見を聞く」という方針にトーンダウンしました。それにもかかわらず、木造復元に向けた予算を提案するのは、あまりに唐突なやり方です。
私は、「7月1日の経済水道委員会以降に市民の意見を聞いたのか。市民の意見を聞くこともなく、木造復元へと舵を切るのは、議会無視、市民そっちのけではないか」と追及。市民経済局長は、「市民意見は聞いていない」と認めました。同局長は、今後、天守閣整備の3つの手法(木造復元、復元的整備、耐震改修)について市民の意見を聞くので、木造復元という結論ありきではないかのような答弁をしました。これにたいして私は、「今回の予算では、ゼネコンから木造復元の技術提案を公募し、もっとも優れた提案をしたゼネコンを選定する。この手続きの過程で、議会が木造復元はやめるという判断を下すことができる機会があるのか」と質問。同局長は、「設計契約と施工契約の前に予算の議決が必要で、2度のチェックをしてもらう」としか答弁できず、設計・施工を請け負うゼネコンを選定するまでは、木造復元にノーと言えないことが明らかになりました。
技術提案・交渉方式を採用するねらいには、工期の短縮があります。私の質問にたいして河村市長は、「東京オリンピックに間に合うなら、世界中にアピールできる」と答弁しましたが、これまでの市の調査では約18年間かかるとされてきた工期が、オリンピックまでの5年間に短縮できるわけがありません。仮に、オリンピック前に現天守閣の解体工事に着手することができても、オリンピック開催中は、世界から来るお客さんに天守閣を見てもらえないでしょう。今回の予算は、「調査費」と銘打っていますが、工期を短縮してまでして「木造復元に本腰を入れて取り組む予算」にほかなりません。
市当局は、自民党市議の質問にたいして、今後、市民アンケートを実施する意向を明らかにしました。しかし、アンケートを実施するというのなら、木造復元に向けた予算を撤回し、この間の経済水道委員会で指摘された事項についての調査結果を議会に報告したうえで、3つの天守閣整備の手法について市民に問うべきだと思います。
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