東山公園の「うるおいの森」を歩く
「うるおいの森」と呼ばれる東山公園の南部地区を初めて歩いてみました。コアラのエサになるユーカリの畑を横切って林の中に入ると、整備されていない小径がいくつにも枝分かれしています。ところどころにタイヤホイールに手書きした案内がありますが、地図がなかったら迷ってしまいます。
落ち葉が敷きつめられた起伏にとんだ小径を西の方に歩くと、天白渓湿地に出ます。残念ながら水は枯れていて、湿地の面影がありませんでした。さらに西に登っていくと、「馬の背」という尾根があります。1メートルに満たない道幅の両側は崖になって、なるほど「馬の背」だ。ユーカリ畑方面に戻って、南東に向かって歩くと、「オタマ池」があります。きれいな湧水池です(写真下)。その先には、道の脇に湧き水溜りが点在する「いきものの水辺」と呼ばれているところもあります。
この「うるおいの森」を「散策や自然観察の場として雑木林を保全するとともに、市内では貴重となった湿地や湧水池を再生する」計画があります(「東山動植物園再生プラン新基本計画」。写真上)。名古屋市は、整備の基本設計を設計会社に委託するとともに、地域の住民も参加した検討会を立ち上げました。今年3月までに基本設計を固めるとしています。
ところが、近隣の住民から「遊歩道の設置に反対」する声があがっています。湿地や湧水池の再生、雑木林の保全は必要としながらも、不特定多数の来場による不法駐車や不法投棄、樹林地や湿地帯の環境悪化が予想されるという理由からだそうです。大都会に残された貴重な自然の保全・再生と、その自然に市民がふれる機会の拡大とをどのように両立させるのか。市民的な議論が求められています。
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