本日の名古屋市議会総務環境委員会では、地域委員会制度の骨子案が示された。骨子案では、地域委員会制度について、「地域の住民の中から投票等によって選ばれた地域委員会委員が、住民参加のもとで話し合い、住民間の合意形成を図りながら、地域において解決すべき課題とその解決策を検討し、そのために必要となる市予算(税金)の一部の使い途を提案する新しい住民自治の仕組み」と定義されている。骨子案の主な内容について、私のコメント(⇒)も含めて紹介する。
■地域委員
投票によって選出する「公募委員」と学区連絡協議会が推薦する「推薦委員」で構成。任期は3年。投票の仕方は「郵送投票」または「投票所設置」。地域委員および投票資格者は「満16歳以上」または「満18歳以上」。
■地域委員会が行う課題解決策の検討
住民アンケートや各種地域団体などへのヒヤリングによって地域課題を洗い出し、会議では住民参加・公開のもと議論し、地域課題を絞り込む。絞り込んだ地域課題について、住民の意見を聴き取りながら解決策を検討する。
⇒私はこうしたプロセスを充実させることが、地域の自治力を高めるうえで大切だと考える。
■地域予算案の提案
地域予算の限度額は、人口に応じて200万円、300万円、400万円⇒モデル実施のときの3分の1程度に減らされたが、当然だ。
地域予算案の対象からは、「市が定めた基準を超えるもの」も除外する。たとえば、防災備蓄品の拡充など⇒特定の地域だけが市の基準を超えれば地域間格差が生じるので、妥当な措置だ。
学区連絡協議会に支給されている「安心・安全で快適なまちづくり補助金」(1学区60万円)など既存の補助金と地域予算による補助金は、同じ事業を行う場合には学区連協などが重複して受けることはできなくなる。
■地域委員会の設置
手上げ方式で申請。30人以上の住民が発起人となり、学区連協との協議を経たうえで市に申請し、地域委員会設置準備会を設置する。準備会のもとに投票運営委員会を設置して、委員の選任投票を実施する。
市総務局は、この骨子案にもとづいて、来年度から各区2か所を目安に試行実施する方針を示した。これに委員会が紛糾し、当局側は「今後の想定スケジュール」については取り下げた。私は、「現状では、地域委員会制度そのものへの市民の合意が得られておらず、制度の内容だけでなく住民自治のあり方も含めた市民的な議論をすすめることが必要な段階だ」と指摘しておいた。
本日の委員会は、骨子案の内容については実質的な審議に入れないまま散会した。住民自治の新しい仕組みづくりというは、長い期間をかけて、じっくり検討していくべきものだと思う。