「大企業・大金持ち減税」やめて財源は防災・福祉の充実に回せ
マニフェストでは「市民税10%減税恒久化」を掲げていた河村たかし市長が、21日開会予定の臨時議会に「5%」減税案を提出することを表明しました。10%、7%、そして5%・・・「バナナのたたき売りか」という声が上がっています。
減税日本は、先の11月議会に「7%」などの修正案を提出した際、財政福祉委員会での提案趣旨説明の中で、「半減の5%とする場合、……民間の可処分所得の増え幅が減り、経済効果が薄くなること、行革推進圧力が弱まり、減税の意義が損なわれる恐れがある」と言って、5%への修正は蹴っていました。それにもかかわらず、どうして河村市長は5%減税を提案するのか。とにかく「減税をやった」と“我が身を売り込みたい”だけとしか思えません。
しかし、河村「減税」の本質は、10%でも5%でも変わりません。「一律」減税ですから、大企業や大金持ちに“どっさり”、庶民にはますます“ちょっぴり”の「大企業・大金持ち優遇」減税です。「減税」で無理やり税収を減らし、それをテコに「行革」の名で福祉・暮らしの予算を削り、福祉は民間企業や地域委員会に任せるという「公的福祉解体」減税にほかなりません。
5%減税を実施する財源(来年度は79億円)があれば、そのお金を、介護保険料や国保料、保育料の引き下げなど、福祉と子育て支援、そして防災対策にこそ振り向けるべきです。
「展望なき妥協」に走るのか?自公民
減税を実施した場合の収支不足は、5%に半減すると79億円圧縮されますが、それでも「行革」によって福祉・暮らしの予算を削減し、東海地震などの大規模災害に備えて貯金している財政調整基金を大幅に取り崩さざるをえません。「減税の財源どころか、通常の予算も組めない財政状況」(自民党の11月議会の反対討論)は、5%に下げても改善されないでしょう。「財政調整基金を減税財源に充てることは、基金の本来の目的を逸脱した大問題。……わかりにくい政治的判断ではなく、政治的良識を持って(7%修正にも)反対」(11月議会の反対討論)した民主党の“政治的良識”なるものは、どうなるのでしょうか。公明党も7%などの修正案に、「高額所得者優遇であり、低所得者に配慮した減税措置に至っていない」として反対しましたが、5%減税案もこの点はまったく同じです。
識者からも、「(市長と議会)双方の展望なき妥協で減税が行われたところで、市民にとって負の遺産となるだけだろう」(児玉克哉・三重大学教授。「読売」)、「減税は景気対策には一切ならない」(江口忍・共立総合研究所名古屋オフィス代表。同)という厳しい意見が出ています。12月臨時議会で自民・公明・民主が賛成に回るならば、「展望なき妥協」との誹りを免れないでしょう。
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