2024年12月 6日 (金)

広沢市長と初論戦――市民税減税100億円を福祉・暮らしに

 12月5日の本会議で、私は広沢一郎市長と初めて論戦しました。市長選挙で大きな争点となった市民税減税についてです。

 市民税減税は、住民税が非課税の人や控除対象となる配偶者や扶養親族など市民の約半数には1円も減税がありません。減税の恩恵を受けているのは、一握りの大金持ちであり、約9割の市民は減税額がゼロか、年間数百円、数千円です。その一方で、これまでの河村市政は、介護保険料や国民健康保険料などの値上げを繰り返してきました。今年度、介護保険料が年額3696円値上げされた保険料段階が第6段階の高齢者は、非課税ですから、市民税減税はゼロです。収入が年金のみで年間150万円の一人暮らしの高齢世帯の国保料は、年額1370円の値上げですが、この世帯も非課税ですから、減税の恩恵はありません。

 河村前市長も広沢市長も、「減税をやめれば増税になる」と言います。しかし、約半数の市民は、そもそも市民税を納めていないのですから、減税をやめても増税になりません。減税されている市民にとっても、減税をやめた方が、暮らしが楽になるケースが少なくありません。その一つが、小学校給食の無償化です。小学校給食が無償になれば、子育て世帯の負担が児童1人につき年間4万8400円軽くなります。

 私は、「物価の高騰で苦しんでいる低所得者にとって、市民税減税は暮らしの支えにまったくなっていないことは明白ではないか」「年間数千円から1万円程度の減税よりも、約5万円負担が軽くなる給食費無償化の方が、子育て世帯にとっては、はるかに生活支援になるのではないか」と質問しましたが、市長は「市民税減税は、納税者の可処分所得を増やすことで市民生活を支援するもの」と市民税減税の目的を繰り返すだけでした。

 私は、「市民税減税は、減税政策としては本質的な欠陥がある。それは、税の公平性を損なう減税ということだ」と指摘。かつて東京都議会で、個人都民税の一律減税への認識を問われた小池百合子知事も、高額所得者ほど減税額が大きくなる、個人都民税が課せられない方々に対しては効果が及ばない、だから、税の公平性の観点から課題があるという認識を示したことを述べて、「市民税減税は、定率・一律の減税であるため、税の公平性の観点からは課題があるという認識はないか」と質問しました。

 広沢市長は、「一律の税率ということは、所得に比例して同じ割合で負担するということであり、公平な制度になっている」と答弁。私は、「税の負担という点では、公平かもしれない。しかし、減税という点では不公平ではないか」と指摘し、「高額所得者により多くの恩恵を施し、格差を拡大する不公平な減税はやめて、100億円を市民の福祉・暮らしの応援に回せ」と求めました。

2024年12月 5日 (木)

市立保育園の非正規職員1200人が「雇い止め」――会計年度任用職員の「5年目公募」は撤廃を

 日本共産党名古屋市議団は12月4日、広沢一郎市長に対して、非正規の会計年度任用職員の雇用継続を妨げる「5年目公募」を撤廃するよう申し入れました。

 名古屋市立保育園で働く会計年度任用職員のうち約1200人が、今年度で雇い止めになります。会計年度任用職員の任期は原則1年。名古屋市では4回までは再任用が可能ですが、5回目は公募試験を受けなければならないことから、今回の大量雇い止めとなりました。国の人事院は「優秀な人材の流出につながる」として非正規職員の雇用継続の上限回数を撤廃。総務省も運用マニュアルから上限回数の表記を削除しました。名古屋市が上限回数を設ける根拠はなくなりました。

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2024年10月11日 (金)

河村市長の辞職に不同意の討論

 河村市長が衆院選出馬のために辞職を申し出たことへの同意が、本日の本会議で議題となり、日本共産党など反対多数で不同意となりました。私が行った反対討論を紹介します。

 市長が退職するとした10月14日は、決算認定案を審査している市議会の最中であります。市長は10月2日の本会議で、決算認定案の提案にあたって、「よろしくご審議のうえ、適切なご議決を賜りたい」と議会にお願いされました。ところが、ご自身は、審議の結末を見届けることなく市長を辞するというのは、議会と市民に対してあまりに無責任であり、身勝手と言わなければなりません。

 河村市長は、市長としての4期15年に関して「130%のできだった」と述べたと報じられていますが、わが会派に言わせれば、名古屋城天守閣木造復元事業が頓挫するなど市政運営に行き詰まった挙句、市長の座を投げ出すものにほかなりません。

 私は、河村市長とこの議場で様々な問題について何度も論戦してまいりました。数えてみましたら、河村市長と渡り合った質疑・質問は15年の間にのべ33回にのぼります。市長の私に対する答弁は、すりかえやごまかしなど多くはかみ合わないものであり、激しく言葉を交わした時もありました。ただ、河村市長は答弁書を棒読みするのでなく、自分の言葉で答えようとされたので、緊張感のある議論ができたと思っています。

 この市長ともう議場で論戦ができなくなると思うと、私は一抹の寂しさを覚えます。同時に、議論が尽くされていない重要課題が山積したまま去られることに、憤りを感じています。天守閣整備、相生山の道路、そして「減税したから名古屋の税収の伸びは日本一」という事実に反することでしか、その効果を語れない市民税減税などがそうであります。市民の代表である議会で議論が尽くされていないということは、市長が市民への説明責任を果たしていないということになります。それにもかかわらず辞職されるのは、職責放棄と言わざるをえません。以上から、この時期の市長の退職には同意できません。

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2024年10月 3日 (木)

再審法改正を求める意見書 全会一致で採択

 10月2日の市議会本会議で、「刑事訴訟法における再審に関する規定の改正を求める意見書」が全会一致で採択されました。

 意見書では、「冤罪は、憲法が保障する基本的人権を脅かす、深刻な人権侵害である」が、「現行の刑事訴訟法では再審請求手続きに関する審理の在り方について細かな定めがなく……審理の適正さが制度的に保障されず、公平性も損なわれている」ことを指摘。大きな問題点として、「再審において捜査機関が持つ証拠を開示させる仕組みが整っていない」ことや、「検察官が抗告することなどにより審理が長期化していること」をあげ、国会と政府に対し、「冤罪被害者を一刻も早く救済するために、刑事訴訟法における再審の規定を速やかに改正するよう強く要望」しています。

 今議会前に国民救援会のみなさんが、市議会各会派に意見書提出を要請されました。共産党市議団は交渉会派(5人以上)でないため、意見書の原案を提出できなかったのですが、自民党市議団から提出されました。袴田事件などでの世論の高まりが、意見書の採択につながったと思います。

2024年9月20日 (金)

弥富相生山線の折衷案は道路計画廃止を棚上げ

 9月19日の市議会本会議で私は、相生山の道路(弥富相生山線)の折衷案について質問しました。2010年から工事が中断している弥富相生山線をめぐって名古屋市は、未整備区間(約180m)をつなぐ折衷案の検討をすすめています。私は、「折衷案は、弥富相生山線の都市計画の存続を前提にした道路なのか、それとも道路計画を廃止した上での園路なのか」と質問。緑政土木局長は、「道路か園路か」の明言は避け、「都市計画審議会に諮ることのできる案を現時点では持ち合わせていない」と答弁しました。折衷案は、道路計画を廃止した上での園路ではないということです。

 折衷案の検討は、道路計画を存続させたままで進めることになります。これは、速やかに都市計画審議会に道路廃止を諮問するという河村市長の方針と矛盾します。私は、「市長は道路事業廃止という方針を棚上げするのか。折衷案は撤回したらどうか」と市長の姿勢をただしました。これにたいして河村市長は、「私は全然変わっていない」「折衷案の成案をつくることをまずやる。その上で、早く都計審にかけて道路を廃止せよと、私は言っている」と答弁しました。

 しかし、道路計画を存続させたまま、折衷案として道路をつなぐとどうなるか。相生学区で開かれた意見聴取会で、学区の委員から「『緊急車両だけ通す』といっていても、道路をつなげば、一般の車へとだんだん広がっていくんじゃないか」という声が出ていました。私は、「都市計画は残っているので、繋げてしまえば、一般車を通す方向にいってしまう」と指摘しました。

 河村市長は、道路事業廃止を表明して以降、一度も地元に足を運んでいません。重大な決断をしながら、自らの言葉で住民の理解と合意を得ようとしない。方針をぶち上げて、あとは役所任せ。「これでは行政の長としての責任が問われる」と指摘し、折衷案を撤回し、速やかに弥富相生山線の都市計画を廃止することを求めました。 

2024年9月 4日 (水)

マイナ保険証保有していない人に現行の国保証と同様の資格確認書を自動送付

 今年12月1日で新規発行が終了する健康保険証の存続を求める意見書の提出を求めて、愛知県社会保障推進協議会などから提出されていた請願は、9月3日の財政福祉委員会で「審査打ち切り」になりました。

 市健康福祉局は「今年12月2日以降は、マイナ保険証を保有していない方すべてに申請によらず資格確認書を交付する」としています。名古屋市の現在の国民健康保険証は来年7月末まで使えます。私は同委員会での請願審査で質問し、健康福祉局は「来年7月末までに資格確認書を郵送する」と答えました。有効期間は、現行の国保証と同じく1年更新です。資格確認書の様式は、現在と同じ2つ折りのカード型。「資格確認書」という名称になるだけで、記載事項は現在の保険証と同じであることも明らかになりました。

 マイナ保険証を保有していても、認知症高齢者や重症者、車イスの利用者がカードリーダーで資格確認することは容易ではありません。暗証番号を忘れたとか、顔認証ができないなど。「こうしたマイナ保険証では受診が困難な高齢者や障害者が資格確認書の交付を求めた場合にも交付されるのか」という私の質問に、市健康福祉局は「申請があれば交付は可能。一度申請してもらえば、その後は1年ごとに自動的に更新する予定」と答弁しました。だったら今まで通りの保険証を交付すればいいのではないでしょうか。

 マイナ保険証の利用率は、7月単月で11%で、国民の9割近くが利用していません。「中日」の社説(9月2日付け)では、「利点が実感されないためだが、現状で現行保険証の廃止が強行されれば、現場の混乱は必至。政府は利用者の立場に立ち、現行保険証廃止の方針を撤回すべきだ」と述べています。私は、「マイナ保険証を使いたい人は使えばよくて、現行の健康保険証を廃止する必要はない。マイナ保険証のごり押しはやめさせ、現行の健康保険証を残すよう、国に求めるべき」と主張し、請願の採択を求めました。

2024年8月21日 (水)

水道料金大幅値上げへ――単身世帯など少量使用者ほど負担増

 名古屋市上下水道事業審議会は8月19日、上下水道料金を来年10月から平均で11.8%値上げするよう市に答申しました。答申では、いくつかのパターンの値上げ案が示されましたが、「事業運営の安定の面からは、より基本料金収入割合を高めた水道案①、下水案①とすることが妥当」とされています。

この案によると、平均使用水量が1か月8㎥の単身世帯の場合、現行料金から505円の負担増で、41.9%の大幅値上げになります。少量使用者ほど負担増が大きくなるのは、1か月の基本料金が水道625円+下水道560円から水道800円+下水道790円へと、34.2%引き上げられるとともに、1か月6㎥までは基本料金のみという基本水量制を廃止するためです。ただし、この金額は、「税抜」の「1か月分」です。上下水道料金の請求は、2か月分の税込み(消費税10%)ですので、この単身世帯のケースでは、実際の支払いの際には1111円(505円×2か月+消費税)の負担増になります。

 水道料金の値上げは、物価高騰で苦しんでいる市民に負担増を強いるものであり、容認できません。人口減少による給水収益の減少が値上げの理由の一つとされていますが、その一方で〝揖斐川の水も必要〟といって徳山ダム導水路建設に参画することは辻褄が合いません。値上げ案は、市議会11月定例会に提出されるようですので、値上げストップに向けて論戦していきます。

2024年8月 6日 (火)

相生山の道路―河村市長、「廃止」棚上げか

 相生山の道路をめぐって名古屋市は、3つの折衷案を立案し、8月末から9月にかけて地元の学区や市民団体などから意見を聴取します。

 8月6日、環境団体が河村市長などと話し合う「健康と環境を守れ!愛知の住民いっせい行動」で、「相生山の自然を守る会」と「相生山緑地を考える市民の会」は、「道路としてつなぐ折衷案は緑地破壊に繋がる」として、折衷案の撤回を求めました。両「会」からの「折衷案は(都市計画)道路か(公園内の)園路か」という質問に、河村市長は「緊急車両だけ通す園路」と回答。「それなら道路計画は廃止したら」と「会」側がたたみかけると、河村市長は「(道路建設に)賛成の人もいるのでしょうがない」と答え、道路廃止を明言しませんでした。折衷案は、道路計画の廃止を棚上げするものではないでしょうか。

 日本共産党市議団は、都市計画道路・弥富相生山線は廃止すべきという立場です。折衷案が、弥富相生山線の都市計画の存続を前提にしたものであれば、賛同することはできません。道路計画を存続させたままでの折衷案では、道路事業廃止という市長の方針にも反します。緊急車両の通行という視点から道路開通を望む意見もありますが、それは園路でも対応は可能です。

2024年6月27日 (木)

改正配置基準にもとづき公立園での保育士増員を

 6月24日の市議会本会議で私は、改正された保育士配置基準にもとづいて、公立保育所での保育士の増員を急ぐよう求めました。

 「子どもたちにもう一人保育士を!」を合言葉にした全国の保育者・保護者・保育関係者の運動が国を動かし、今年4月、保育士配置基準が改正されました。ただし、経過措置が付けられたため、「当分の間」は対応できる施設や自治体のみの改善です。「子どもたちにもう1人保育士を!」と運動している市民団体が実施した全国の自治体アンケートでは、公立施設において「実施時期を明確にできない」と回答した自治体が、4・5歳児については30.2%、3歳児については29.6%にのぼっています。一方で、改正された配置基準にもとづいた職員配置へと踏み出した政令指定都市も少なからずあります。

 「名古屋市ではいつから実施するのか」という私の質問に、子ども青少年局長は「子ども一人ひとりを尊重した質の高い保育を提供するためには、職員体制を段階的に整備していく必要がある」と、段階的に配置改善を進めていく意向を示しました。私は「改正された配置基準に基づく保育士の配置改善に来年度から着手するよう」求めました。

2024年6月25日 (火)

無駄に無駄を重ねる徳山ダム導水路事業から撤退を

 6月24日の名古屋市議会で私は、徳山ダム導水路(木曽川水系連絡導水路)事業からの撤退を求めて質問しました。

 2009年度に凍結された導水路事業は、国による検証作業が大詰めを迎え、着工に向けて動き出そうとしています。名古屋市は、河村市長が建設容認へと方針転換したことを受け、今年5月に事業への参画の継続を表明しました。しかし、名古屋の水道は、木曽川の水で十分足りていて水は余っています。木曽川の給水可能量は日量160万㎥あるのに、一日平均給水量はその半分以下の74万㎥(2022年度)です。私は、「徳山ダムの水が、平常時においても量的確保のために必要という立場か」と質問。上下水道局長は、「非常時に必要不可欠」というだけで、平常時の必要性を語れませんでした。

 河村市長は、建設容認へと方針転換するにあたって、導水路事業の新たな使い道=「新用途」を提案しました。ところが、この提案では「当初目的である量的確保に加え」てと、量的確保が前提とされています。河村市長は水需要予測と現実とが「3倍も違う」と言ってきました。「それなのに、どうして量的確保という当初の目的はそのままで、導水路事業への参画を継続するのか」という私の質問に、市長は「ダムを造ってしまったので、市民のために生かせるように使い方を考えた」としか答弁せず、「しょうがない」とつぶやいていました。

 渇水になっても、節水は必要ですが、木曽川だけで対応は可能です。一日最大給水量も一日平均給水量も、この間、減少傾向にあります。それがⅤ字回復するという〝高位〟の予測は、信ぴょう性に欠けます。Ⅴ字回復しても、一日平均給水量は平成6年渇水相当の木曽川の給水可能量を下回っています。「量的確保のため」という当初の目的は、明らかに成り立たなくなっています。

 市長が提案した「新用途」について、私はその有効性や実現可能性について質問しました。第1の提案は、専用施設を造って導水路から直接取水することにより、事故などで木曽川から取水できない場合に対応するというものです。名古屋市は、犬山市(2か所)と一宮市にある取水口から木曽川の水を取水しています。木曽川から取水できない事態が生じたら、揖斐川の水を直接取水することができても、市民生活に多大な影響を与えます。揖斐川から取水できる量(毎秒1㎥)は、木曽川から取水している量(毎秒10㎥)の10分の1しかないからです。リスクに対しては、導水路があれば万全というわけではありません。

 第3の提案の堀川への導水については、私の質問に上下水道局長は、「導水する水の位置づけ」の整理・検討が必要と答弁しました。これは、名古屋市が確保している利水分を堀川導水に転用するのではなく、導水路事業のもう一つの目的である長良川と木曽川の河川環境を改善するための水の活用を検討するということです。環境目的の水の活用では、名古屋市が確保している毎秒1㎥の水は余ったままになります。

 新用途の提案に対して国交省中部地方整備局は、導水路事業の「検証結果を踏まえ」て検討等を行っていくとの意向を示しています。私は、「導水路の着工までに、3つの新用途が具現化される見通しはあるのか」と質問。上下水道局長がはっきりした見通しを答弁しなかったので、「新用途が導水路の着工までに具現化されなくても、導水路事業に参画し続ける考えか」と質問すると、河村市長は「田口さんに聞きたいけど、造ってしまった徳山ダムをどうするんだね」と逆質問。市長には反問権はありません。私の質問に河村市長は答弁不能に陥りました。

新用途なるものは、河村市長が導水路の建設容認へと舵を切るための方便にすぎません。私は「(導水路事業は)無駄に無駄を重ねるものであり、水道料金の負担増となって、未来世代により大きなツケを回すことになる」と指摘し、導水路事業からの撤退を求めました。

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